吹奏楽部の世界は異常だった

最近ネットで『「やる気がないなら帰れ!」と言われたから素直に帰った』というような話を目にすることが多くなりました。こういう威圧的な言葉を口にする人は大体、反骨心的なものを期待しているのだと思いますが、残念ながらその効力は弱くなってきているようですね。

 

かくいう私もバリバリのゆとり世代ですが、正直学生のときはこんな対処法は思い浮かびませんでした。比較的真面目な方だったので、とりあえず謝ってみてやる気のあるポーズを見せる感じでした。

 

今になって同じ状況になったらと思うと…いや、今でも実際に帰ってしまうような人は尊敬します。私にはできない。

 

私がこんな精神の持ち主になったのは、中学時代に在籍していた吹奏楽部のおかげだと思っています。

 

吹奏楽部はパワハラがすごい!

私は「音楽が好き」という安直な理由で、中学で初めて吹奏楽部に入部しました。「吹奏楽部は厳しい」といううっすらとした前情報はありましたが、まぁどうにかなるだろうという軽い気持ちで。


そして実際に吹奏楽部という世界に足を踏み入れてみたところ、まさに今世間で騒がれているパワハラのオンパレードでした。


当時は若さゆえか何の疑問も持たず従っていましたが、今思えばかなりカオスな世界でした。

 

とにかく口答えは許さない先生

吹奏楽部なので当然、みんなであわせる合奏の時間があるわけですが、音楽好きが集まっているとは思えないくらいいつもピリピリしたムードでした。


はじめのうちはにこやかな先生が、誰かがミスをするたびに険悪な雰囲気を醸し出していくんです。


音を間違えるたびに先生が止めて、間違えた人が「すいません」という。「すいません」の声がないと、「誰?今の」と犯人探しをする先生。あ、そういえばなかには名乗り出ない強者もいました。


「ちゃんと練習したの?」と聞かれれば、「してません」なんて言えません。しかし「ちゃんとやりました」と言えば、「練習しても結果が伴わなきゃ意味ない」と追い詰められます。


そしていつしか、私を含む吹奏楽部メンバーは「はい」と「すいません」しか口にしないロボットと化したのです。

 

返事が大きい=やる気がある

私が在籍していた吹奏楽部は、先生や先輩に何かを言われたら大きな声で返事をするのが絶対でした。返事をするのは当然として、「大きな声で」というのがポイントです。

 

同じようなところでダメ出しをされている生徒が二人いたとして、それに対する返事がとにかく大きい方が勝ち、みたいな。


返事が小さい人の場合、「やる気がないなら…」に繋がります。


なんていうか、謎に体育会系なんですよね。

 

マウスピースを落としたら自分を叩く

これはうちの部の伝統みたいなものでした。

 

金管木管問わず楽器のマウスピースはとても大切なものなので、落としたら戒めとして自分の頭を10回叩く。叩くというか、グーなので「殴る」ですね。


楽器を大事に扱うことは当然ですし、雑に扱ったことは反省すべきですが、このわかりやすすぎる反省ポーズを強いられたときは何らかの宗教のようなものを感じました。


部員全員がこの伝統を知っているから、誰かがマウスピースを落とすとみんな「殴らないの?」みたいな目で見るんです。


ちなみに私は真面目な生徒でしたが、真面目系クズなので一人のときに落としても何もしませんでした。

 

今思えば小学校からの英才教育だった

私が今まで出会った学校の先生は、小・中・高問わず変わった人が多かったです。小学校でも中学校でも高校でも、今思えば「やる気がないなら帰れ」系の先生はいっぱいいました。


あと、「生徒がいつまでも騒いでいて静かにならないからブチギレて授業を放棄し職員室に戻り、生徒が自主的に謝りに来るのを待つ」系の人も。


これってもしかして、指導法としてマニュアル化されていたりするんでしょうか。あまりにもテンプレートすぎて、高校生にもなれば全員スルーしていましたが…。

 

小学生のときなんて先生は絶対的存在だったので、正義感のある子や学級委員長が謝りに行く、という光景は日常茶飯事でした。

 

こんなことを小さいうちから大人にやらされるって、パワハラの英才教育としか思えません。

 

結論:音楽は楽しんでナンボ!

中学の吹奏楽部ではそれなりにいい成績を残しましたが、好きな音楽をして怒られるということが最後まで腑に落ちなかった私は、高校では吹奏楽部とは全く関係のない部に入りました。


これから吹奏楽部への入部を考えている人に個人的な意見として伝えたいことは、吹奏楽部は純粋に音楽を楽しめる場所ではないということです。とてつもなく理不尽な世界です。


でも、社会経験をする場所としては向いているかもしれませんね。